不動産売却で失敗しないために――「契約不適合責任」を正しく理解する
2025-11-06- トップページ
- 資産コンサルチームの不動産コラム
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不動産を売却する際、多くの方が「価格」や「時期」には注意を払いますが、意外と見落とされがちなのが「契約不適合責任」です。
これは、売主が買主に引き渡した物件が「契約内容と異なる状態だった場合」に責任を負う制度で、2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」に代わって導入されました。
一見すると法律の難しい話に聞こえますが、実はこの責任を理解していないと、売却後に思わぬトラブルや損害賠償に発展することもあります。
今回は、売主が知っておくべきポイントと、トラブルを防ぐための実践的な対策を解説します。
契約不適合責任とは何か？
「契約不適合」とは、簡単に言えば契約で約束した状態と異なる物件を引き渡した場合を指します。
例えば、
- 雨漏りがある
- シロアリ被害がある
- 給排水設備が壊れている
- 土地の境界が明確でない
- 土壌汚染がある
などが典型です。
売主がこうした不具合を知っていながら告げなかった場合はもちろん、知らずに引き渡した場合でも、後から買主が発見し、修補や損害賠償を求めるケースがあります。
つまり、「引き渡して終わり」ではなく、売却後も一定期間、売主が責任を負う可能性があるという点がポイントです。
トラブルを防ぐための3つの鉄則
�� 物件の状態を事前に正確に把握する
まず大切なのは、自分の物件の現状を正確に知ることです。
「見た目に問題ないから大丈夫」と思っていても、屋根裏の雨染みや床下の配管劣化など、住んでいると気づきにくい部分に不具合が潜んでいることがあります。
最近では、第三者の専門家による「ホームインスペクション（住宅診断）」を活用する売主が増えています。
専門家が建物を診断し、客観的な調査結果を報告してくれるため、後々「知らなかった」「説明されていなかった」というトラブルを防ぐ有効な手段となります。
費用は5〜10万円ほどかかりますが、安心して売却するための「保険」と考えれば決して高くはありません。
�� 告知書は「正直に・具体的に」記入する
売主は、物件に関する不具合を正確に告知する義務があります。
「過去に雨漏りがあった」「隣地との境界で話し合いをしたことがある」「給湯器を一度交換した」など、どんな小さなことでも記載しておくのが原則です。
一見マイナスに見える情報も、事前に伝えておくことで、後からのトラブルを防ぐことができます。
逆に、隠したり曖昧にしたりすると、引き渡し後に買主が問題を発見した際、「説明がなかった」として損害賠償を求められるリスクが高まります。
告知書の正直さは、売主の誠実さを示すサインでもあります。
�� 契約時に「責任の範囲」と「期間」を明確にしておく
契約不適合責任は、契約書上で範囲や期間を定めることが可能です。
一般的には、「引き渡し後3か月以内に通知された場合に限り対応する」といった特約を設けます。
こうすることで、売主が長期間不安を抱えることなく、一定の範囲内で責任を負う形にできます。
ただし、あまりにも売主有利な免責条項を設定すると、契約自体が成立しにくくなることもあります。
仲介会社や専門家に相談し、バランスの取れた内容にすることが大切です。
契約不適合責任を「恐れすぎない」ことも大切
契約不適合責任と聞くと、「売主ばかりが不利」と感じるかもしれません。
確かに、一定期間は買主からの指摘に対応する義務が生じますが、この制度は「買主が安心して購入できる環境をつくる」ためのものでもあります。
売主が誠実に対応し、物件の情報を正確に伝えることで、信頼関係を築きやすくなり、むしろスムーズで高値の取引につながるケースも少なくありません。
また、最近では、万一の責任を補償する「契約不適合保険（瑕疵保険）」を利用することも可能です。
保険会社や宅建業者が提供する制度で、売主が加入しておくことで、引き渡し後に問題が見つかっても一定の修補費用をカバーできます。
こうした仕組みを活用すれば、心理的な不安を減らしながら売却に臨むことができます。
売却を「成功」に導く最大のポイントは「誠実さ」
不動産売却は、人生の中でも大きな取引のひとつです。
価格交渉や税金対策ももちろん重要ですが、最終的に成功するかどうかは、取引の透明性と誠実さにかかっています。
契約不適合責任を正しく理解し、
- 物件を正確に把握する
- 情報を正直に開示する
- 契約条件を明確にする
この3点を実践することで、トラブルを未然に防ぎ、安心して次のステップへ進むことができます。
「知っていたら防げた」「説明しておけば良かった」――そんな後悔をしないために、契約不適合責任を味方につけた賢い売却を心がけましょう。
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