本郷台駅にもし「北口」があったなら〜を、考えてみた
2024-10-26- トップページ
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本郷台駅に「北口」を――栄区の未来を拓く新しい視点
横浜市栄区の中心に位置するJR根岸線「本郷台駅」。区役所や文化センター、商業施設が集まり、区の生活拠点として長年親しまれてきた駅です。しかし、この本郷台駅には長年にわたる課題があります。ご存じの方も多いと思いますが、駅の出入口が南側にしか存在しないのです。
一見すると小さな問題に思えるかもしれません。ところが、駅北側に暮らす住民にとっては、日常の不便さにつながっています。というのも、駅北側には横浜市の「栄第一水再生センター」の関連施設や小菅ヶ谷公園があり、その敷地が駅と住宅地の間に位置しているからです。駅のホームはすぐ目の前に見えているのに、直接アクセスできず、南側まで迂回しなければならない。この距離のロスは、高齢者や子育て世帯にとって大きな負担です。
北口が生まれれば何が変わるか
仮に水再生センターの一部と小菅ヶ谷公園を活用し、駅に「北口」が整備されたらどうなるでしょうか。まず第一に、北側に住む住民の利便性が劇的に向上します。徒歩時間の短縮は日々の生活の質を大きく左右し、公共交通の利用促進にも直結します。
加えて、栄区は横浜市内でも高齢化率の高いエリアです。駅までのアクセスが楽になれば、高齢者の外出機会が増え、健康維持や社会参加の推進につながります。これは「歩ける街」をつくる上で極めて重要な要素です。
また、防災の観点からも北口の意義は大きいでしょう。現在は駅の出入口が南側に集中しているため、災害時には避難経路が一方向に偏ってしまいます。北口を整備することで避難ルートを分散でき、安全性は飛躍的に高まります。災害大国・日本において、この効果は軽視できません。
まちの一体化と活性化
本郷台駅は、南側に区役所や商業施設が集積し、南北で明確な「機能の偏り」があります。北側には住宅が広がっているものの、駅前らしい賑わいは生まれていません。北口ができれば人の流れが生まれ、商業やサービスの立地が進み、土地利用価値も高まります。駅の南北が一体化し、栄区全体の均衡ある発展につながるでしょう。
さらに重要なのは、市有地の有効活用という観点です。栄第一水再生センターや小菅ヶ谷公園は広い敷地を有しており、その一部を市民生活に役立てることは、行政資産の効率的活用と言えます。技術革新によって施設のコンパクト化が進んでいる今日、施設の再編とともに「駅北口の設置」を検討する余地は十分にあるはずです。
他都市の事例に学ぶ
全国を見渡すと、上下水道施設や河川敷など、従来は閉ざされていた公共施設の敷地を人々の通行に開放し、まちの回遊性を高めた事例は数多く存在します。行政の縦割りを超え、交通・都市計画・環境施設が連携することによって、新たな都市の価値が生まれているのです。
本郷台駅北口も、まさにそうした事例の一つとなり得ます。水再生センターの安全性や機能を妨げない形で通路や出入口を設けることは、技術的に十分可能でしょう。むしろ「環境施設と共生する駅」としての象徴的な存在になり、栄区の先進性を示すプロジェクトにもなり得ます。
公平性の観点から
本郷台駅北口整備には、もうひとつ大きな意義があります。それは「市民の公平性」です。駅の南側に住む人は駅を容易に利用できる一方、北側に住む人は遠回りを強いられる。これは、公共交通機関を公平に享受できていない現状と言えるのではないでしょうか。
行政は「誰もが安心して暮らせるまちづくり」を掲げています。その理念に照らし合わせても、駅北口の実現は合致する取り組みであり、栄区全体にとってバランスの取れた都市機能を確保する上で欠かせません。
栄区の未来を見据えて
栄区は横浜市の中でも成熟した住宅地であり、穏やかな住環境が魅力です。しかし同時に、高齢化や地域の分断といった課題を抱えています。駅北口の整備は、その課題を解決し、まちの新たな活力を生み出す一つのきっかけとなるでしょう。
単なる「利便性向上」ではなく、防災、福祉、都市発展、資産活用――多方面にメリットをもたらす施策。それが本郷台駅北口の新設です。今後、行政と地域が連携し、この実現に向けた議論が進むことを強く期待したいと思います。
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