自宅の敷地に傾斜地があったら売却が難しい?
2025-05-15- トップページ
- 資産コンサルチームの不動産コラム
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横浜市や川崎市では、敷地内に傾斜地(いわゆる「崖地」)が含まれている不動産が非常に多く存在します。こうした物件を所有されている場合、将来的な売却時に法的・物理的なリスクが伴うことをご存じでしょうか?
本日は、崖地に該当する不動産の特徴や、売却に際して気をつけたいポイントについて詳しく解説いたします。
【崖地とは何か?】
横浜市建築基準条例では、次のような土地を「崖」と定義しています。
高さ3メートルを超え、かつその主要部分の勾配が30度を超える一体の傾斜地
このような「崖」の下端から水平距離が高さの2倍以内に建築物を建てる場合、擁壁(ようへき)や防土堤の設置が義務付けられます。
【擁壁の主な種類と特徴】
崖地を安定させるために設置される擁壁にも、構造や材質によっていくつかの種類があります。それぞれに特徴や注意点があり、売却時にも影響することがあるため、あらかじめ把握しておくことが大切です。
■ 重力式擁壁
構造:コンクリートや石積みなど、重量そのもので土圧に抵抗
特徴:比較的古い宅地に多く見られ、基礎が厚く安定性が高い
注意点:鉄筋が入っていないものが多く、耐震性に乏しい。老朽化による構造的不安も懸念されます。
■ 鉄筋コンクリート擁壁(RC擁壁)
構造:鉄筋を入れたコンクリート製の構造物
特徴:高い強度と耐久性があり、現行の基準に則った標準仕様
注意点:構造計算が必要となり、2mを超える場合は建築確認申請の対象に。費用も高額になりやすいです。
■ L型擁壁
構造:L字型断面で、基礎部が土圧に抵抗
特徴:狭小地や造成地に適しており、施工性が高い
注意点:軟弱地盤では転倒や滑動のリスクがあり、基礎の補強が必要な場合があります。
■ 逆T型擁壁
構造:断面が「T」の形状。L型より強度が高い
特徴:公共事業や大規模造成で採用される耐久性の高い構造
注意点:設置面積・施工コストともに大きく、住宅地では導入が限定的です。
■ 間知石積み擁壁(けんちいしづみ)
構造:規格化された石を積んだ構造
特徴:景観性に優れ、昭和期の造成地に多く採用
注意点:構造的に脆弱なものが多く、現在の基準では再建築不可とされる可能性があります。
■ ブロック積み擁壁
構造:コンクリートブロックを積み上げたもの
特徴:施工が容易で、庭の補強など小規模用途向け
注意点:多くが建築基準法に適合しておらず、高さのある構造には不向き。売却時に建築不可とみなされることがあります。
【土砂災害・崖崩れの危険性】
神奈川県の多くのエリアには「関東ローム層」と呼ばれる火山灰由来の土質が分布しており、水分を含むと崩れやすい性質を持ちます。
台風や集中豪雨のたびに崖崩れのリスクが高まっており、1958年に発生した狩野川台風では、神奈川県内で多数の崖崩れが発生。人的・物的被害が甚大となった事例もあります。
【崖地所有者の管理責任】
崖地を所有している方には、以下のような管理責任が発生します。
擁壁や排水設備の維持・点検による崖崩れ予防措置
周辺住民・通行人に対する安全配慮義務
災害発生時には損害賠償責任を問われるリスクも
【売却時に考慮すべきポイント】
■ 事前調査の徹底
崖地の高さ・角度・地質、擁壁の種類や状態について、信頼できる不動産会社や建築士に依頼して調査・診断を行うことが重要です。
■ 補強の要否と費用感
必要に応じて擁壁の補強や再構築の見積もりを取得し、売却前に情報を整理しておくことで、買主との信頼関係を築きやすくなります。
■ 売却価格の戦略的設定
補強コストや将来的な修繕リスクを加味したうえで、現実的かつ市場性のある価格を設定しましょう。価格が高すぎると売却が長期化する原因にもなります。
■ 情報開示の徹底
擁壁の構造や災害履歴、過去の補修記録などを適切に開示することで、買主の安心材料になり、トラブルを未然に防ぐことができます。
【まずはお気軽にご相談ください】
弊社「リアルパートナーズ株式会社」では、横浜市・川崎市を中心に、傾斜地・崖地を含む不動産の売却・購入サポートに多数の実績がございます。
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