「修繕積立金」が値上がりする理由とは?
2025-05-12- トップページ
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「修繕積立金」の値上がりについて
分譲マンションを購入する際、購入価格や住宅ローンの返済額にばかり目がいきがちですが、長期的な視点で見ると「管理費」や「修繕積立金」といったランニングコストも非常に重要です。
特に、ここ数年で目立っているのが修繕積立金の大幅な値上がりです。
実際、マンション購入時には月額8,000円程度だったのが、15年後には2万円近くにまで上昇していた、という例も珍しくありません。
今回は「修繕積立金」についてお話していきます。
■ 修繕積立金とは何か?
まず基本として、修繕積立金はマンションの共用部分の修繕や設備更新のために住民から月々集められる積立金です。
エントランスや外壁、屋上、廊下、エレベーター、給排水管など、個人の専有部分ではない建物全体の維持管理に使われます。
マンションは築年数の経過とともに老朽化し、一定のタイミングで計画的な修繕工事が必要になり、その費用を賄うのが修繕積立金です。
国土交通省のガイドラインでは、30年間で一戸あたり200万〜250万円程度の修繕費が必要とされています。
月々に換算するとおよそ5,500円〜7,000円となりますが、これはあくまで平均的な目安であるためタワーマンションや築年数が古いマンションではさらに多くの費用がかかることがあります。
■ 値上がりの理由は?
実際には、分譲当初からこの金額を設定しているマンションは少なく、多くが最初は低い金額から始め、10年、15年と経過するごとに段階的に値上げしていきます。
たとえば、新築時に月額5,000円だった修繕積立金が、15年後には2万円、20年後には2.5万円へと増加するケースもあります。
一部のマンションでは、これまでの積立が追いつかず、臨時徴収や借り入れに頼る状況も見られます。
修繕積立金の値上がりにはいくつかの理由があります。以下が主な要因です。
- 初期設定額の低さ
新築分譲時は販売価格を抑えるため、あえて修繕積立金を低めに設定する傾向があります。購入者が「管理費+修繕積立金」の月額負担を低く見積もれることで、販売促進につながるからです。
そのため、数年後に実態に見合った金額へと引き上げる必要があります。
- 建築資材・人件費の高騰
近年の物価上昇により、修繕にかかる費用そのものが高くなっています。特に2020年代以降は資材価格や施工業者の人件費が大幅に上がっており、以前の見積もりでは賄えない状況となっています。
- 修繕内容の高度化・多様化
築年数の経過とともに、ただの補修では済まされないケースが増えてきます。外壁タイルの全面打診調査や配管の更新、バリアフリー対応など、求められる修繕の質や範囲が広がり、それに伴って費用も増加します。
- 耐震・防災・省エネ対応
耐震診断や補強工事、防災設備の導入、省エネ改修(照明のLED化や断熱性能向上など)といった新たなニーズにも対応しなければなりません。これらも追加コストとなります。
■ 修繕積立金の使い道
集められた修繕積立金は、以下のような工事・対策に充てられます:
- 外壁塗装・補修
美観だけでなく、防水性・耐久性を保つために重要です。 - 屋上防水工事
雨漏り防止や断熱性向上 - 給排水設備の更新
配管の老朽化は漏水事故や衛生問題の原因になります。 - エレベーターの更新・保守
安全性・快適性の維持には更新が必要です。 - 共用部の照明・内装の改修
居住者の満足度や資産価値を高める目的で行われます。 - 防災・防犯設備の強化
火災報知器、監視カメラ、自動火災通報装置の設置など。
修繕積立金の値上がりは、避けようのない現実です。しかし、管理組合が透明性をもって将来を見据えた修繕計画を立てること、そして住民がその必要性を理解し、積極的に管理に関与することが健全な運営の鍵となります。
購入時に考えることは勿論、売却の検討のタイミングとして、値上がりのタイミングは抑えておいた方が良いかと思いますので、マンションの長期修繕計画などのチェックをしてはいかがでしょうか。
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