藤が丘駅前地区の街づくり計画 ― 緑・医療・暮らしが結びつく新たな駅前へ

横浜市青葉区に位置する東急田園都市線「藤が丘」駅。
渋谷駅まで約32分、横浜駅までも約39分とアクセスに優れ、落ち着いた住宅街と利便性が調和するエリアとして長年人気を集めています。駅周辺には日々の買い物に便利な商業施設や、地域医療を支える昭和大学藤が丘病院が集積し、生活の安心感を高めています。

一方で、藤が丘駅前は、1966年の駅開業から50年以上が経過し、基盤整備の更新が大きな課題となってきました。とりわけ、1967年開業の藤が丘ショッピングセンターや、1975年開設の昭和大学藤が丘病院など、地域に寄り添ってきた建物は老朽化が進み、現代の生活スタイルに合わせた機能更新が求められています。

こうした状況を踏まえ、横浜市・東急株式会社・学校法人昭和大学の三者は2018年より協議を開始。ワークショップや地域住民からの意見募集などを重ね、藤が丘駅北側一帯約6ヘクタールを対象とした「藤が丘駅前地区再整備基本計画」を策定しました。
この計画は、藤が丘の街が持つ魅力を活かしながら、課題解決と持続可能な地域活性化を図るための重要な指針となるものです。

藤が丘駅前が抱える課題

再整備に至った背景には、大きく三つの課題があります。

1. 駅周辺施設の老朽化

駅前に位置する商業施設や医療施設は、半世紀以上にわたり地域の生活を支えてきました。しかし、建物の老朽化は避けられず、安全性の確保や機能更新が急務となっています。

2. 緑地・オープンスペースの不足

藤が丘駅前公園は存在するものの「落ち着いて過ごせる緑の広場」という点では十分とは言えず、駅前の顔となるようなオープンスペースの創出が求められていました。

3. 駅前交通環境の課題

ロータリーや駐車場が広がる駅前空間は、歩行者にとって必ずしも安全性・快適性が高いとは言えません。また、自転車駐輪場が少ないことも課題の一つとして挙げられています。

まちづくりの基本方針 ― 人にやさしい藤が丘へ

「藤が丘駅前地区再整備基本計画」では、上記課題を解決し、藤が丘の住みやすさをさらに高めていくため、下記の3つの基本方針が掲げられています。

【1. 緑・オープンスペース】

藤が丘を象徴する“緑の一体整備”へ

藤が丘駅前公園と昭和大学藤が丘病院を一体的に再整備し、緑を活かした魅力的なオープンスペースを創出します。
これにより、駅前を訪れた人が「思わず足を止めたくなる」ような居心地のよい空間を形成。さらに、駅から谷本公園へ続くプロムナード沿いにも広場を設け、歩行者のための安全で快適な動線を確保します。

緑が街の中心にある駅前は、藤が丘らしさをさらに際立たせ、子育て世代からシニア層まで幅広い世代が安心してくつろげる環境づくりにつながります。

【2. 道路・交通】

安全で快適な駅前交通環境の形成

現在の駅前空間は車を中心に設計されており、歩行者にとって十分なゆとりがありません。
再整備により、駅と街を結ぶ動線をスムーズにし、景観にも配慮した明るく開放的な駅前をめざします。

歩行者、自転車、バス・タクシーそれぞれの動線を整理することで、住む人も訪れる人も安心して行き交える交通環境を実現します。

【3. にぎわい・安心】

地域の魅力を高める機能集積と連携強化

駅前交差点を中心に東西南北に伸びる通りを“にぎわい軸”と位置づけ、商業施設・飲食店・交流スペースなどの集積を目指します。
生活利便性を高めると同時に、地域住民の交流の場を生み出し、活力ある駅前を再構築します。

また、医療機関と地域が連携した“安心で健康なまち”という藤が丘ならではの価値をさらに強化。医療・福祉・商業・住まいの機能が近接することで、多世代が快適に暮らせるまちを目指します。

街の魅力は将来的な資産価値にもつながる

藤が丘は元々、落ち着いた住宅環境、商業利便、医療体制の三拍子が揃った住みやすい街として広く認知されています。
そこに加えて、今回の再整備では「駅前がより快適に・緑豊かに・安全に」生まれ変わることを目指している点が特徴です。

駅前の利便性が高まることは、日常の暮らしやすさを向上させるだけでなく、不動産価値の安定化・向上につながる可能性もあります。特に田園都市線沿線は居住ニーズが高いことから、再整備の進行とともにエリアとしての魅力がさらに増すことが期待されます。

まとめ

藤が丘駅前地区の再整備は、単なる建物の建て替えに留まらず、
「緑」「医療」「暮らし」が連携した、次世代に誇れるまちづくり
を目指したプロジェクトです。

50年以上にわたり地域の生活を支えてきた藤が丘駅前が、より安全に、より快適に、より魅力的に進化することで、これからも多くの人に選ばれる街として発展していくことが期待されます。